わが家のジェンダーギャップ探索座談会
「それぞれの家庭の、それぞれの正解を、発見せよ」〜男性編〜
家事も、育児も、仕事も。分担のかたちは、家庭の数だけあります。
one woman PROJECTでは、福井で暮らす4人の女性・男性に集まっていただき、それぞれ、座談会形式で、わが家の現在地を語ってもらいました。
これまで、何を揉めて、何を話して、何を変えてきたのか。正解と、そこへのルートは、探した人の数だけあるはずです。
― 話した人 ―
※プライバシー保護のため、参加者のみなさんのお名前は動物名に置き換えています。ファシリテーターのみ、ご本人の了承を得て実名で掲載しています。

坂井美帆さん(ファシリテーター)
福井市出身、東京在住。広報PRの仕事を経てフリーランスに。世界で活躍する日本人女性へのインタビューをポッドキャストで配信中。夫と柴犬1匹の暮らし。
シマウマさん
40代。医療の仕事。妻も同じ職業で、時短勤務。子どもは4人(小学生2人と、幼稚園に通う双子)。家の分担は、朝から夜まで細かく決まっている。
ペンギンさん
30代後半。教育関係の仕事。妻は同級生。3歳の息子と、先月生まれたばかりの娘がいる。1年間の育児休業を取得中で、いまは家のことをほぼ一人で回している。料理好き。
タヌキさん
30代前半。行政の仕事。妻は同じ職場の同期で、今年から職場に復帰。4歳と2歳の男の子がいる。夜の寝かしつけは、1日交代制。
ハリネズミさん
20代後半。メディア関係の仕事。3歳の子どもがいる。妻は同い年で、デザインの仕事を時短のパートで。毎朝走るのが日課。結婚した当初は、家事をすべてリスト化して二人で分けていた。
1, 役割は、決める? 決めない?
まずは、家庭の中で家事や育児をどう分担しているか、その現状を知りたいです。割合も含めて、率直に教えてください。
うちは、家のことは基本的に妻が全部やっています。料理、洗濯、子どもの準備、予定の管理みたいな、毎日発生するルーティンは妻が中心で。逆に僕は、子どもと遊んだり、お風呂に入れたり。あとは住宅ローンとか、旅行の計画とか、考えて構築しなければいけない案件は全部僕が担っている、という分け方です。
僕はいま育休中なので、ほぼ全部を回しています。ごはんの準備も、掃除も洗濯も。もともと役割分担というのがなくて、できる人がやる、気づいた人がやるという感じなんです。で、基本的に気づくのが僕なので、トイレ掃除はずっと僕がし続けている感じですね。
気づく方が損じゃないか論争ですね。
でも、気づかないとホコリまみれになるので。
うちで明確に決まっているのは、夜の寝かしつけだけです。妻が寝かせる日と、僕が寝かせる日の1日交代で、寝かしつけに入らない方が寝る前に洗濯をする。あとは決めていません。朝の準備は僕ですね。割合は……一度それで揉めたことがあるので、明言しないようにしています。
どんなふうに違ったんですか。
子どもが生まれてすぐの頃に、ネットか何かで家事のチェックシートみたいなものを二人で目にしました。試しにやってみたら、「これも私、これも私、これも私」って、妻。「いや、それ俺もやってるけど!」、みたいなことがあって。
うちは逆で、完全に、細かく分担しています。朝は僕が先に起きて、子どもたちの水筒の準備と朝ごはんの用意。妻が起きてきてお弁当と洗濯。その間に僕が食べさせて、着替えと歯磨きまでやって、先に家を出ます。夜は妻がごはんをつくって、僕が洗濯物を取り込んで畳む。洗い物は全部僕で、お風呂は最後に入った人が洗う。
2,いまのかたちになった、きっかけ
シマウマさんのところは、話し合って決めたんですか。それとも自然にそうなったんですか。
いや、もう幾度となく喧嘩をして。その都度その都度、修正したり変えたりしながら、ここ2〜3年でようやく今の形に落ち着いた、という感じですかね。
歴史があるんですね。ハリネズミさんは、最初からいまの形だったんですか。
いえ、まったく逆です。結婚して二人暮らしだった頃は、家事を全部リスト化して、完全に二つに分けていたんです。それで3年くらいうまくいっていて。でも子どもが生まれたら、時間の使い方が全然変わって、そのやり方がまったく回らなくなりました。
そこから、どう変わったんですか。
妻は、子どものことになると気づく範囲がどんどん広がっていくんですよね。で、やれていないことがストレスになる。僕は気づかない。だったら自分でやった方がストレスがない、という話になって。喧嘩して、話し合って、家事は基本的に妻がやる形になりました。妻がこだわらないところは、僕がやっています。
うちの、寝かしつけを交代制にしたのは、妻が育休から復帰するタイミングでした。それまでは基本的に妻が寝かせていたんですけど、毎日はしんどいわ、という話になって。そろそろ考えた方がいいねと話して、交代にしました。
すんなり交代できたんですか。
いえ、子どもが母親っ子で、父親と寝るのをすごく嫌がったので、長い訓練が必要でした。寝室に入る前に絵本を1話ぶんだけ見せるよ、みたいな条件で釣って。だんだん、すっと寝てくれるようになりました。
僕は、結婚したばかりの頃は、女性に対する勝手な理想を持っていたんです。男性がいちばん身近に見ている女性のイメージって、たぶん自分の母親なんですよね。うちの母は縫い物から掃除まで何でもこなす人だったので、そのイメージのまま結婚して、いろいろギャップがありました。押しつけるのは失礼な話なので、8年、9年かけてすり合わせてきた感じです。
3, 喧嘩は、避けるもの? 前へ進むためのもの?
形が変わるときって、やっぱり話し合いがきっかけなんでしょうか。
いや、平和的な手段はないです。完全に喧嘩がきっかけですね。なんでやってないの、から始まって、この前あれやるって言ってたじゃん、みたいになって、さらに広がる。あれはあの時のあれは、みたいな。
僕がいちばんストレスなのは、妻のタイミングで、あれやって、これやって、と言われることなんです。だから、何時までに全部やるよ、やってほしいことはとりあえず先に言って、と伝えました。
あとは、お願いするならお願いする態度があるだろうと。命令みたいな言い方をされた時は、その言い方ではやらない、とはっきり伝えます。自分の好きなようにやりたいなら自分でやりなさい、お願いするならお願いしますという態度で、と。それをずっと続けています。
タヌキさんは、違うなと思ったことを言葉にして伝えたりしますか。
それが苦手なのかもしれなくて。その場ですぐに、モヤっとしたものを言葉にできないんです。後から振り返って、こういうモヤモヤだったのかなと思うことはあるんですけど、その場ではペラペラ喋れなくて、もういいわ、となってしまう。
でも、モヤっとしているのは伝わっちゃってるんですよね。態度に出すぐらいなら言えよ、と逆に怒られる。シマウマさんの話を聞いていて、その場できちんと喧嘩になった方が健全だなと思いました。
4, こだわりは、譲る? ぶつかる?
家事や育児のこだわりが、お互い違うということはありますか。
妻に、ぶれない育児方針があるんです。砂糖や添加物のものは食べさせない、テレビも見せない。最初はその情報がシェアされていなくて、なんでこれが違うの、とよく喧嘩になりました。ただ、ちゃんと調べて考えを持っている人がいるなら、そちらに合わせた方が喧嘩にならない。やりたいことを支えるイメージでやっています。
二人目が生まれる頃には、わが家の育児方針みたいなものができてきたので、いまは大きな喧嘩にはならずにやれています。もちろん、自分が譲れない部分がある時は、対立してバチバチやりますけど。
僕も、子どもへの接し方は妻を見て真似るようにしています。妻はこだわりを持ってその接し方をしているんだろうから、同じ接し方をしておけば間違いないかな、と。
うちも、こだわりがあるところは完全に、じゃあ自分でやりなさいと伝えて、それ以外を僕がやっています。僕は正直、みんなが楽しく暮らせればそれでいいんです。そのためには妻が笑っていてくれないと。ずっと機嫌が悪いと、子どもたちも、また怒ってるわ、となって空気が悪くなるので。
そうやって「こだわりのあるところは任せているよ」と、奥さんに話したことはありますか。
たぶん、言わないですね。そっちに合わせるよと言ったら、お前のはないのか、という話になりそうで。それが嫌なので、任せるよ、ではなく、賛成です、という感じの方がいいかもしれないです。
僕は、喧嘩がないのがいちばんです。平和に暮らせるのがいちばんなので。
5, まわりの目と、時代
ご両親の影響って、あったりしますか。
うちの父も祖父も亭主関白で、女性は家庭、という家でずっと育ってきました。ただ、大学に入ってからは、そうあるべきとはあまり思わなくなって。自分の家が当たり前じゃないんだな、というのが前提で結婚が始まったので、影響はあまりなかったかもしれません。
うちの父は、本当に仕事と遊びしかしていなくて。育児も家事も一切やらない、というよりできない人でした。それに対して、僕はあまりよく思っていない、というベースがまずあります。
引っ張られていることは、特にないと思います。もう時代なんだろうなと。昔は男性がしっかり稼いで、専業主婦でも回せた。でもうちは僕と妻の収入がトントンぐらいなので、家事やらせてください、という状態なんです。いま僕の父親みたいに、帰ってきてご飯が出てくるのを待っていたら、たぶん離婚されますね。
育休をとってから、幼稚園のお迎えに行くようになったんです。そこで、朝昼晩ごはんをつくっていますという話をすると、ママ友にすごく頑張ってるねと褒められる。ありがたいんですけど、これ、妻から褒められたらもっと頑張れるんやろうなと思いながら聞いていて。感謝は声に出して相手に届けるべきだなというのは、育休中に痛感しました。じゃないと、誰のために何をやっとるんやろう、となってモチベーションがもたないので。
少し話がずれるんですけど、自治会に行く機会が結構あって。古い集落なので、いまだに、男が家事をするのはすごい、という人が父親世代より上に多いんです。あれは逆にやめてほしくて。
褒められるのが、嫌なんですか。
それを隣で聞いている妻が、私は同じことをしても褒められないのに、となるのが、本当に肩身が狭いんです。いい加減、上の世代もそれに慣れてほしいというか、変にコメントしないでほしいなと、最近ずっと思っています。
6, これからの、わが家
いまの形は、理想的だなと思えますか。それとも、もう少しこうしたいというのがありますか。
いまがベストだと思っていても、何年かすると絶対に変わるんだろうな、とは思いますね。子どもが生まれる前は、あの形がベストだった数年間があったので。環境が変われば、また変わる。変わること前提で生活していくことを、心がけなきゃいけないかなと思っています。
理想としては、どっちもワンオペできる状態がいいのかなと。とりあえず二人とも全部できる状態にはしておきたい。そう考えると、僕はもうちょっと頑張りが必要な気がします。
妻が出産で動けなくなって、僕が家事も育児も全部回した1か月がありました。妻が復活してくると、また分担が少し変わってくる。その時その時で臨機応変に動けることが大事だなと思います。僕がいつ事故るかも、いつ大きな病気をするかもわからない話なので、お互いのスキルは上げていかないと。
僕も同じで、いまの現状がベストとは思っていません。その時その時で、適宜調整していければいいのかなと思っています。
今日いちばん学んだのは、こだわりがあるところは、男性側が立ててくれているんだ、ということでした。これはたぶん、女性側が気づいていないんじゃないかと思います。私もこれからは、あ、夫が立ててくれているんだな、と思うようにします。今日はありがとうございました。
〜それぞれの「プロセス」から見える、正解探しのヒント〜
シマウマさん
役割を細かく決めてしまう。待ち時間が減って、家が早く回る。
朝の水筒、夜の洗い物。お風呂は、最後に入った人が洗う
タヌキさん
暮らしのかたちが変化する前に、話して決め直す。
妻の職場復帰の前に、寝かしつけを1日交代制へ。
ペンギンさん
相手に理由があるなら、そちらに合わせてみる。
調べて持ってきた方針なら、乗ったほうが早い。譲れない時は、ぶつかる。
ハリネズミさん
いまの形がベストだと、思わないでおく。
子どもが増えれば、また崩れる。変わる前提で暮らす。
▼女性編はコチラ
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